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4.152017
頭ジラミどう見分ける? 診断と治療のポイント
いわゆる「シラミ症」と言われる感染症の原因となる寄生虫は「アタマジラミ」、「コロモジラミ」、「ケジラミ」の3種類です。そのうち「コロモジラミ」は過去DDTで徹底的に駆除されたため、現在では極めて稀な寄生虫となっています(私自身も20年以上皮膚科医をしていますが診察したことがありません)。
「アタマジラミ」は頭髪に、「ケジラミ」は主に陰毛(稀にその他の体毛へも)に寄生します。皮膚科クリニックで診察することが多いのは「アタマジラミ」です。
「アタマジラミ」の場合、「うちの子供が頭を痒がっているのですが、何の病気でしょうか?」と来院されるケースは少なく、以下のように半分以上の方々がシラミ症を疑って来院されます。
「幼稚園(保育園)からアタマジラミかも知れないと言われました」
「子供の髪の毛に白いポツポツが付いていました(その毛を持参)」
「痒がっているので見てみたら虫が動いていました(その虫を持参。時に生きたまま)」
そう考えると、一般の方々において「頭ジラミ症」という病気への理解はかなり浸透していると思われます。
下の写真はある患者様が持参された「アタマジラミ」です。生きていたため内臓の動きなどもリアルに観察できました。写真は顕微鏡の接眼レンズにiPhoneを当てて撮りました。多少コツを要しますが、結構うまく撮れるものですね♪
頭ジラミ症は「虫体、もしくは虫卵の顕微鏡による確認」によって診断が確定します。
下の写真は「アタマジラミの虫卵」です。虫卵はセメント物質によって毛(主に根元付近)にガッチリ固定されており、手で卵を掴んで毛から取り除こうとしてもなかなか取れないのが特徴です。
この卵はすでに孵化して抜け殻となっていますが、診断的価値はあります。
「アタマジラミの虫卵」と間違われやすいのが「ヘアキャスト(写真下)」です。ヘアキャストは髪の毛を強く引っ張った状態で結ぶことによって毛包(髪の毛を作り、かつ保護している皮膚内の組織)の一部が引きちぎられ、毛に付着したまま伸びてきたものです。
マカロニ状の構造物なので、手で挟んで毛に沿って動かしてみると、アタマジラミの虫卵と違って簡単に移動させられるのも特徴です。
「アタマジラミの虫卵」と「ヘアキャスト」の鑑別は肉眼での所見と毛への付着度合いでおおよそ見当がつきますが、確実に見分けるためにはやはり顕微鏡での判別となります。
頭ジラミ症の感染経路は主に「髪が触れ合うことによる接触感染」ですので、好発年齢は「他人とじゃれあって接触する可能性が高い小学校低学年まで」のことが多いです。
しかし一旦アタマジラミが家庭内に入ると、家族内感染も多々あるので要注意です。患児を頻繁に抱っこするお母さんや、一緒の布団で寝ている姉妹(もしくは兄弟)などへ感染が拡大することも多々あります。
頭ジラミ症は保険適応の治療薬がないため、「診断は医療機関、治療薬は薬局で市販薬を購入」となります。現在主に使われているのは「スミスリンLシャンプータイプ」です。薬入りシャンプー剤と専用くしで構成されている製品です。
頭ジラミ症において治療対象となるのは「虫体」と「虫卵」です。薬入りシャンプー剤は虫体には非常によく効きますが、虫卵にはほとんど効きません。
その弱点をカバーするために「虫卵から孵化するタイミングを考慮して3日に1回のペースで複数回使用する」という治療スケジュールが推奨されています。
しかし、虫卵から孵化するまで待ってから治療するよりも、孵化する前の虫卵自体に対処できた方が良いというのは明らかですよね。実は「虫卵にも対処でき、それによりスミスリンLシャンプータイプの治療効果を確実なものにするためのひと工夫」があります。
この「ひと工夫」に関しては診療時に説明していますので、頭ジラミ症でお悩みの方は是非当院にいらしてください。
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